あけましておめでとうございます。正月二日から風邪をひいてしまいまして、熱は下がったんですがまだ喉が痛いので、今日はお医者さんに行って薬をもらってきました。せっかく8日まで休みなのに、風邪をひいててつまらないです。

さて今日は、先日「君の名は。」をテレビで見たので、その感想を書こうと思います。映画公開時には見に行っていません。たぶん詰まんないだろうなと思っていたので。ところが、思ってたよりは面白かったです。1500円だか払って見るかというと微妙ですが。まあ、途中で出てきたりはしないかな。話としては、そんなに複雑な話ではありませんでしたが、パラレルワールドの描写が説明不足に感じました。

まず、タイムリープ物のお約束として、①単一時間線・書き換え可、②単一時間線・書き換え不可、③複数時間線の三つの立場のどれかになるのが普通だと思います。で、「君の名は。」ですが、記憶がなくなっていくとか、スマホのログが消えていくとか、その辺はどうも①のような気がしますが、さすがに①だと、ちょっと現代では能天気すぎるので、たぶん基本的には③のパラレルワールド系の話なんだろうと思います。

①(単一時間線・書き換え可)だとすると不都合な点。

2016年のタキ君が、彗星落下当日のミツハと入れ代わって、町民避難計画を立ててから2016年に戻ってきたとき、ミツハによる避難が成功していたとすると、3年前の彗星落下時に死んだ人はいなくて、ミツハも生きているということになるわけですが、だとすると、タキ君が2013年から2016年に戻った瞬間に、それまで2016年には存在していなかったミツハその他の人たち500人が、3才年をとった状態で存在するようになる(突然現れる)わけです。さらに、その間のデータ(記憶や経歴)は、誰かが捏造して関係者全員にインプラントしてくれるのか、それとも自然に生成されるのか(どうやって?)、なんだかよくわからないですが、とにかく、あまり現実的な話ではないような気がします。(死んでしまった人が生きていた問題)

同様に、タキ君も含めて、彗星衝突のニュースを覚えていた世界中の人たちの記憶において、「死者500人」が「死者0人」に書き換えられる。これも、どうやってそんなことが可能になるのかわかりません。ついでに、すでに出版された本とか、新聞とか、ネット記事とか、そういうのをだれが修正するんでしょうか?という問題。(被害者以外の人の記憶改変問題)(→つじつま合わせのためにそういう修正をするくらいなら、単純に時間を3年分巻き戻して、改変があった時点からやり直してしまう方が簡単に思えます。この場合、世界中の人の3年間の経験を「なかったこと」にしてしまうわけで、それはそれで一種の虐殺ですよね。500人の命を救うために、7,000,000,000人の3年分の経験を抹殺するのは倫理的に正しいことなのかどうか。500人が80年生きるとすると4万年分ですが、70億人の3年は21憶年分ですから、実に52万倍の時間になるわけです。)

さらに、前者のヴァリエーションとして、例えば、糸守町で妻が死んでしまったAさんと、同じく旦那が死んでしまったBさんが、震災効果で結婚して、子供(Cちゃん)が生まれましたというような状況になっていたとします。この場合、ミツハが(3年前に)町民避難をうまくやっていたとすると、タキ君が2016年に戻ってきた瞬間に、

①Cちゃんが消滅、AさんとBさんが結婚した事実もなかったことになり、Aさんは元の妻(Dさん)と、Bさんは元の旦那(Eさん)と3年間暮らしていたということになる。

②AさんとBさんは、何らかの理由でDさん・Eさんとは離婚したことになっており、その後再婚してCちゃんが生まれたという設定に書き換わる。で、DさんとEさんの三年分の経歴も作成される。

③AさんとBさんは、Dさん・Eさんと正式に離婚しないまま内縁関係になっており、Cちゃんをもうけていた。

といった場合のどれかになるのかなと思いますが、どれになるにせよ、いろいろと面倒なことがたくさんありますね。ちょっと、超越的視点からの介入者のようなものを想定しないと解決できないと思います。

ミツハの世界線

というわけで、タキ君がタイムリープして避難を手伝った世界線は、彼が属する2016年の過去ではなく、パラレルワールドとして新しく作られた世界なんだと考えたほうがよいと思います。タイムリープしたタキ君は、自分が属する世界線の過去を改変してはおらず(たぶんそんなことはできない)、タキ君が戻った2016年では、ミツハを含めた糸守町の人たちは死んだままだと思います。(劇中では、彼が2016年に戻った際に記憶をなくしているようなので、そのことを確かめるすべがなかったわけですけど。なんでわざわざ忘れさせる必要があるんですかね?わたしとしては、こっちの彼に、「だめだったか」という体験をしてほしかったと思いますが、それだと話がむしろ分かりずらくなるという判断ですかねえ。)

一方、2013年のミツハ側から見ると、ことは単純で、彗星直撃から住民を避難させて、その後普通に2016年まで暮らせばいいだけの話です。こちらは、ミツハのタイムリープ以外は無理なことをしていません。ポイントは、ミツハにとっては、彗星直撃からの避難は、過去の改変ではなくて、現在の出来事だという点です。(タキ君にとっては過去改変であるが、ミツハにとっては現在であるということ。だから、タキ君にとっては不可能なことでも、ミツハにとっては可能なんですね。)

2013年のタキ君は、ミツハと入れ替わっていたタキ君とは別に存在していて、つまり中学3年時に東京で彗星を見ていたタキ君ですが、こちらがミツハにとって「コンテンポラリーなタキ君」ですから、最後にミツハが出会う就活中のタキ君は、もちろんこのタキ君で、タイムリープしていたタキ君とは別人です。(タイムリープしていたタキ君については、2016年に山の上で、記憶を消されて、「なにやってんだオレ?」と言ったところで終わっています。)

最後の場面について

ミツハの方は、忘れてしまったにせよ、タイムリープの経験があり、住民避難のアイディアを出したのもタキ君だし、それ以前からタキ君に恋心らしきものを抱いていたようなので、最後に電車で会って、やっと会えたと思うのはわかるんですが、タキ君の方は、中学三年の時に電車の中で組み紐を渡されたというかかわりしかないんですが、それで運命の人とか思うのは、やっぱり単にミツハの顔が好みだったんだろうなと思います。てか、かわいい子ならだれでもいいんだろうなと思います。(たぶん先輩でもよかったんだろうけど、このタキ君はタイムリープしてないから、先輩に好かれてもいないわけですね。)

タキ君って必要なの?

ミツハがタキ君の中にタイムリープした際に、彗星のこととか糸守町のこととかをググれば全部わかるわけで、特にタキ君に何かしてもらわなくても、3年後にタイムリープだけさせてもらえれば、ミツハ一人で解決できる問題だったんじゃないかと思います。まあ、ミツハもタキ君も、だいぶな情弱に設定されているから、大変だとは思いますが。
もっと言ってしまうと、わざわざ入れ替わりのタイムリープなんてせずとも、予知夢でも見とけば足りるんじゃないかと思います。

まあ、そう言っちゃうと元も子もなくなってしまうわけですが、正直、高校生が誰かを好きと思うとかって、気の迷いというか思い込みだけですから、それを別の言葉で言えば「運命」とか「宿命」とかになるんでしょうけど、わたしはそういうのを特に素敵だとも思わないので、まあ、出会いのきっかけはなんでもいいですけど、ミツハには、まずはちゃんと付き合ってから判断してねと忠告したいと思います。

とはいえ、ミツハが生き残ることになる世界線は、タキ君が強引にタイムリープしたから始まったわけで、その点では愛の力なんでしょうけど、これもそうなる前にミツハが自分でなんとかできないわけではないですよね。

全体的に気になった点

ピンクの空がラッセンみたい。あと、リドリー・スコット風のレイヤー表現。濡れた地面とかの照り返し、スモーク的な霧やら雨のしぶきやら。空から降ってくるもの、雪とか桜とかいろいろ降りすぎ。あと、蝉鳴きすぎ。
ラストで、どうせ桜が散ってる下で再会するんだろうなと思ってましたが、その前に雪が降ってるところですれ違って、しまった雪だったかと思いましたが、結局やっぱり桜でした。

新海さんは、どうも安易な記号的表現を多用しすぎる感じがします。これは悪口ですけど。

あとはそうねえ、どうも全般に二次創作っぽい感じがします。つまり、「ラッセンの絵みたい」とか、絵で書いているのに一眼レフで撮った時みたいな絞りのハレーションが出たりとか、モチーフとかでも、ラピュタっぽいとかサマウォっぽいとか、新海さんにとって「表現したいもの」が、既にして創作物なんじゃないかと思います。というわけで二次創作っぽくなってしまうんですね。まあ、一概に悪いこととは言えませんけど。素人っぽくはありますね。

以上。

あ、ティアマトというのは、バビロニアの神話に出てくる龍の姿をした神さまです。龍ですけど、意外とやさしい。
龍の解体とコスモゴニー系のお話です。

4 comments on “「君の名は。」見た”

  1. 遅くなりましたけど…一番わからなかったのが一番肝心なことで
    これを言ってしまうとすべてがゼロになるのですが。

    「なぜ、入れ替わるのが瀧くんと三葉だったのか?」

    そういうストーリーだからで終わりですかね。

    途中で出てきた組紐で何かあるのかと思って観てましたが
    特に重要なことではなかったような気がするし・・・。

    前世で繋がってなかったって言うなら
    (「前前前世」は三葉が3年前の人間だったからだそうです)
    先祖が何かで繋がってたとかあると思うんですが
    そういうのもなかったですね。

    つまんなくてぼんやり見てたからあまり覚えてないんですけど^^;

    結局、観た後に何も残らなかったので、
    何度も観に行った人がよくわからないです。

    • リンちゃんは今期は合流しないんですか?

      それはともかく。
      特殊事情があるのはみつはの方なので、みつはの能力的なものが原因で入れ替わったのかなあとは思います。

      みつはとしては、自分と同時代の人と入れ替わっても意味がないので、未来の人と入れ替わらなければなりません。

      さらに、単にみつはが未来に飛んで、隕石が落ちることその他を知って自分で何とかするっていう話ではなく、タキ君がみつは(ならびに村の人)を助けるという話になっているので、みつはは、自分を好きになってくれて、さらに死んでしまった自分を助けるために自力でタイムリープして何とかしてくれる人を狙って入れ替わらなければならなかったわけです。

      もっとも、みつはの能力とはいえ、みつはが意識的に人選して入れ替わっているわけではないようなので、無意識なのかなんなのか、ちょっとわかんないですけど、そのへんはやっぱり、年の差が3年とかじゃなくて、50年くらい離れてて、タキ君は実はみつはの孫でしたとかいう話だったら、わりとクラシカルなタイムリープ話っぽくて、タキ君にもみつはを救わないといけないモチベーションが生まれますし、入れ替わりにもなんとなく理由があるっぽい感じになっていいかなと思いますけど、新海監督は、やっぱり運命の恋人的な関係じゃないとおもしろくないと思ってるでしょうから、ア・プリオリに結び付いてる二人だったんだということなんでしょうね。(ア・プリオリっていうのは最初からそうなってるっていう意味です。)

      ア・プリオリな関係があるとかいう設定は、普通は「ご都合主義」といってマイナスポイントなんですけど、それを開き直って、「運命の人でロマンチック」とかいわれてしまうと確かにどうしようもないですね。

      そもそも、ドラマとして見ているわたしたちにとっては、タキ君もみつはも、動いたり話したりしてるところを見てて、だいたいどんな子かわかっているからいいんですけど、入れ替わっているお互いにとっては、ぜんぜん会ったことないっていうか、動いてるところも話してるところも見たことがない人ですよね。入れ替わるってことは、自分が相手の中に入ってるときには、相手はそこにいないわけで、だから、顔は鏡を見ればわかりますが、生きて動いている相手を実際に見たことはないわけです。

      昔の映画で転校生とか、あれだともともと二人は知り合いだし、入れ替わった状態で一緒にいるし、入れ替わることで深まる人間関係というのがあったと思うんですが、君の名はの場合は、まったく知らない人と入れ替わって、その相手は常に不在なので、単に自分が特異な経験をしているというだけのことにすぎないように思います。(もっとも、大林監督も気持ち悪い人なので、特に尾美君の中に小林が入った時の演技なんかは、本物の小林以上になよなよしてて、ちょっと大林監督の妄想が入ってる感じではあります。)

      ともかく、まったく会ったことない相手を好きになるとか、普通はありえない話ですけど、そういうシチュエーションに萌えるのは、たぶん新海監督の若干変態的な性癖ゆえだろうなと思います。

      以前の映画で、ずっと昏睡状態になっちゃった彼女を助けるとか、何光年もむこうに行っちゃった彼女がどうのこうのとか、とにかくそういうシチュエーションが好きなんだろうなというか、むしろ、リアルな彼女がそこにいたら萎えちゃうんだろうなという感じがして、まあ少々子供っぽいというか、自分の妄想を投射できるきっかけとしてしか女の子を見てないようで、いささか気持ち悪い話だと思いました。

  2. おおむね同感です。

    以下、うちが某映画レビューサイトに書いた感想

    『う、うーん?』
    レンタルで見ました。
    あー、そういう話なのね、と、途中からの展開で思いました。
    そこはまぁ、予想と違ってよかったです。
    三葉や糸守が消滅していた、今はもうない……
    というところで終わってたほうがよかった気がする。
    (それを瀧君が知ったときは泣けました)
    え、助けちゃうんだ……助かっちゃうんだ……
    一人とかじゃない、町の人500人、全員助かっちゃうんだ。

    そりゃめでたい!
    ……じゃないよ……
    もう興醒めです……。

    時間をテーマにしたいくつもの物語が言ってます。
    『過去は変えられない』
    『過去を変えてはいけない』

    町が消滅したという出来事を知ってる何千何億の人の記憶が、
    まったく別の記憶に置き換わるとか、
    いやいやいやいやいや、あかんでしょ。

    これに感動しちゃうのもどうなんだっていう……
    えー。。。
    っていう感覚にならないんですかね。

    あと、中盤以降、音楽が少し邪魔でした。
    (曲のよしあしではありません)
    音楽というよりは、歌詞かな。
    (歌詞のよしあしではありません)
    歌じゃなくていいんじゃないかと思いました。

    • なるほど。竹さんはパラレルワールドじゃなくて、上書きしちゃったと思いましたか。確かにそこまでパラレルワールドが強調されてなかったので、そう見てもよさそうですが、さすがにそれだと破綻が大きすぎるような。

      とはいえ、テッシーがムーらしき雑誌のアーカシックレコードの記事とか出してましたから、歴史改竄とか記憶の書き換えとかも、その辺のスピリチュアル系のパワーを使っちゃえばできないことはないのかもしれませんねえ。
      だいぶ無茶だとは思いますが。

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