なんか逃げ恥について、前に書いたことがあったはずだと思ったんだけど、ixaの記事と一緒になってて独立した記事になってなかったので、関係部分だけ再録しときます。2016の記事で、自分でも何を書いてたか忘れてたんだけど、読んでみたらわりあい正論だった。とりあえず、ドラマ版を全部と、漫画版を当時出てたところまで読んだ感想のようです。
①最初にドラマの第四回を見た時の感想
第四回の途中から見ただけなので、詳しいことはよくわかんなかったんだけど、星野源がガッキーを家政婦として雇いつつ、表向きは結婚してるふりをしてるという話でした。なんで結婚してるふりなんかしてるんですかね?見栄はってんのかな?そういえば、星野源って見栄晴に似てない?
それはともかく、二人とも、なにやらこじらせているようで、もじもじもじもじしてました。まあ、最終的には、もじもじしながら、くっつくんだかくっつかないんだか、そういう話になるんだろうとは思いますけど。
とりあえず感想。
女の子がもじもじしてるのはまあいいですけど、いい年した男がもじもじするのはいかがなものかと思います。というのは、男の場合、やっぱり行動力が重要だと思うからですね。
男の人というのは、トライ&エラーみたいな感じで、とにかくやってみて、失敗したらやり直すというような風にできてるように思います。もちろん、それをやりすぎるとナンパ師になってしまうわけですが、かといって、失敗するのが怖いから何もしないというのは、ちょっと男としてどうなの?と思います。(失敗を恐れないっていうのは、悪く言うとバカってことになるわけだけど。)
で、恋愛とか女とか、別に興味がないからどうでもいいというなら構わないのだけど、興味があるくせに行動を起こさない(起こせない)というのはダメだと思います。たとえば、仕事をするときとかでも、とにかくやってみて、ダメだったら別のやり方をしてってするわけですから、そういうのができないようだと、仕事もできない人ってことになるんじゃないかなと思います。星野は、仕事はちゃんとできる人ってことになってるようなので、だったら全般的に、恋愛についてだって、もっと男らしくするはずだろうと思うわけですけど。
「愛される人はいいなあ」とかほざいてましたけど、だったら愛されるように努力しないといけません。けど、たぶん努力しないで愛されたいなあとか思ってるのだろうから、要するにマザコンということですね。(もっとも、あんまりそういう努力をする男ってのもいやなものですが。やっぱ男は自分から誰かを愛すべきであって、愛されたいとか言わない方がいいと思う。女子ならいいんだけどね。これは偏見です。)
一方、ガッキーについて。まず、ドラマ上はガッキーが演じているわけですけど、あのキャラは、実はガッキーじゃないですね。こじらせてる女の子っていうのは、ガッキーみたいであるわけがないですから。光浦靖子とかだったらよかったかなと思いますけど、そうすると視聴率がとれませんからねえ。あ、能年玲奈とか?わたしとしては昔の戸川純なんかかなりいいかなと思う。
誰が見てもかわいいと見えるような人は、当たり前ですが、自然にそうなってるわけじゃありません。かわいくしてるからかわいいわけで、そういう風にかわいくするってのができないのがこじらせてるってことだろうから、どうもおかしいなと思うわけです。ま、ガッキーの演技力の問題というよりは、演出の問題でしょうけど。
ガッキーが大学時代に付き合ってたシンジですが、自分が就職できないからって彼女にあたるとか、かなりしょうもない男なわけで、ガッキーはそんなしょうもない男に対して、ちゃんと言葉を選んでアドバイスしてあげてたと思いますが、それなのに小賢しいとか言われて、はらたちますね。
たぶんガッキーは見た目がかわいいから、シンジは、ガッキーについてのお花畑的イメージを勝手に抱いていて、それと違ったことを言ったりしたからむかついたってことなんでしょう。(かわいくしてると、そういう勝手なイメージの押し付けが多くなって、だからほんとに若いうちはいいですけど、そのうち、かわいいのがいいとも言えなくなってくるわけです。)
で、シンジはしょうもない男でしたが、星野(が演じてるキャラ)もあんまり変わんないかなと。「分析しないで」とか言ってましたけど、そういうのはたいてい、女になんか口出しされたくないっていうマッチョか、とにかく優しくしてっていう甘ったれなわけですけど、どっちにしろ同じことだと思います。自分のが偉いと思いつつ甘えるっていう態度で、要するにマザコンですね。
というわけで、第四話の途中から40分ほどみた感想でした。
ガッキー程度の小賢しさだったら、わたしからみたらぜんぜん小賢しくなんかないわけで、あの程度で傷ついたりする男たちって、どんだけナイーブなの?と思います。
ま、原作が少女漫画であるらしいので、あんま男らしくないのはしょうがないことかもしれませんが。
実際の男というのは、人を傷つけても全然平気なくらい鈍感なのが普通で、そういうのはまた非常にうっとうしいことではあるのだけれど、もじもじしてるのよりはいいかなと思います。
あ、ダンスはかわいかった。
あと、石田ゆり子よかった。ユーミン成分。
②最終回を見た後の感想
さて、話題の逃げ恥ですが、前に面白いという話を聞いたので1回だけ見たんですが、いちおう全部録画してあったので、最終回の前に全部見ました。ついでに原作も読みました。わたしとしては原作の方がおもしろかったです。
原作はまだ最後までコミックスで出てないので、結末は知らなかったんですが、ドラマの方はなんだかいまいちな結末でした。
ドラマ版の感想。
まず、そもそもみくりはほんとうにヒラマサ君が好きなのか?ってこと。
ドラマの方では、いつ好きになったかがいまいちよくわかりませんでした。(漫画の方ではハグしてみたら思いがけず好きになっちゃったということで、これはまあ、よくわかりますw)
二人で温泉に行った時には、ちょっと期待していたところがないわけでもなかったようで、勝負下着も用意したのに、なにもなくてがっかりだというような描写があったので、その前から少しは好きになっていたようではあります。で、その前の出来事というと、ヒラマサと風見がみくりをシェアするとかなんとかいう話ですね。あの時みくりは、けっこう憤慨して、ちっちゃいチアリーダーになってワーワーいってましたけど、要するに、ヒラマサからどうでもいい人のように扱われて、それでムッとしたということなんだと思います。
本当に自分が言ってたように単なる仕事であるなら、他のところで仕事をしたってかまわないわけで、実際お金が欲しいから風見のところへもいくわけですけど、あのときヒラマサにシェアとか言われてムッとしたというのは、少なくともヒラマサは自分をもっと特別に思っているべきだと思ったからなんでしょうけど、彼女自身がヒラマサをどう思っていたのかというのはよくわかりません。ムッとしたことによって、自分のヒラマサに対する気持ちに気づいたのかもしれませんが、単にヒラマサはわたしを好きでいるべきなのにどうでもいいように扱ってむかつくということかもしれません。
いちゃいちゃしたりするような関係になってからは、みくりはある程度ヒラマサが好きではあるようです。ただ、「かわいいは最強」とか言ってましたけど、どうも、ペットがかわいいというのと大差ない「好き」なんじゃないの?とは思いました。
で、ヒラマサが頑張ってデートに連れ出してプロポーズするわけですけど、いざプロポーズされてみると、みくりはビビります。
プロポーズの際、ヒラマサの方は、自分とみくりを一つのユニットとして考えていて、そういう前提で話をしているわけですけど、みくりの方はあくまで自分とヒラマサの関係がどうあるべきかというようなところにこだわっていて、すでに二人で一人というような状態になってるヒラマサに対して引いてしまうわけです。ヒラマサの方は、みくりを失ったらもう生きてはいけないというくらいに思い詰めてますが、みくりの方は、まだそこまでではなかったということでしょう。
で、ヒラマサから雇用関係ではなくて共同経営者だと言われて、いちおう納得はしているようですが、やっぱりまだまだ自分とヒラマサを一つのものとして考えることはできなかったようです。
みくりが求めていることは、どうも、自立することであるように思います。で、その自立の象徴というのが、彼女の場合は仕事ってことなんだろうと思いました。仕事としての家事をやるのはいいけど、主婦として家事をするのはいやというのは、家事それ自体をしたいとかしたくないとかいうことではなくて、とにかく仕事がしたいということなんでしょう。
いちばん最初から思ってたことですが、そんなに仕事がしたいなら、偽装結婚とかそんな裏技じゃなくて、普通に就職活動した方がよかったんじゃないのと思います。ま、そんなことをいうと、そもそも話が成り立たなくなっちゃうわけではありますが、最初から彼女の態度は少々本気ではないというか、なめてるところがあるなとは思っていました。
で、彼からプロポーズされて引いてしまったというのは、まだそこまで彼のことが好きじゃないというのもありますけど、彼女自身の問題としては、まだ結婚する準備ができていないと彼女自身が感じているということなんだろうと思います。結婚するとか考える以前に、ちゃんと仕事をして一人前の人間になりたいということですね。この場合、彼女はまだ、そういう「一人前」になったことがない(と自分で感じている)から、具体的に「一人前」になることがどういうことかを知っているわけではないのですが、イメージとしてそういう理想を持っているということですね。つまり、彼女にとっての「仕事」というのは、自分のためにすることだということです。
一方、ヒラマサがどうして結婚したいのかというと、彼は自分の生きる意味が欲しいといっているのだと思います。彼はいちおう正社員ですから、みくりから見ると「一人前」なんですが、みくりと出会う前の彼は、ひとりでシェルターに籠っている状態で、そのことに特に不満もなく、それなりに居心地がよいと思っていました。ですが、みくりと出会って彼女を好きになってみると、もうそういうひとりの状態には戻れないと思うわけです。それで、みくりと結婚したいというわけですが、これはつまり、今後彼は、「みくりのために」生きていきたいと言っているわけで、彼にとっての「仕事」というのは、今後は、みくりのためにするものという意味を持つということですね。(日野君と同じ態度ですね。)
「ひとりではどうしようもない」というのが、いちおう二人に共通する問題意識ではあるわけですが、みくりの場合は実はそれほど深刻ではありません。どうしてかというと、彼女は実際のところ、まだちゃんと「ひとり」になったことがないからです。
学生時代~契約社員までは親と同居していましたし、それからすぐヒラマサのところで暮らし始めるし、漫画版ではちょっと距離を置こうといって1か月ほど家出しますが、その際にもゆりちゃんのところに転がり込んでいます。
つまり自分では「ひとり」と思っていますが、ほんとうに「ひとり」ではなくて、親とかおばさんとかヒラマサとかに保護されている状態だったわけです。
これに対してヒラマサやゆりちゃんは、みくりから見てちゃんと仕事をしている「一人前」ですが、そういう人からすると、自分のために仕事をするだけでは「一人前」ではないということなんだと思います。一人前ではないというか、自分のために仕事をするだけでは「意味がない」と感じるということです。
例えばゆりちゃんにとって、全部ではないでしょうが、ある程度は、みくりが「生きる意味」だったでしょうし、また、風見に、「自分と同じようにひとりでいる人を元気づけられる存在でありたい」とか言っていますが、これは、自分の生は、他者に対してなんらかの意味がある限りにおいて意味があるということなんだろうと思います。
つまり、みくりが想像しているようなちゃんとした「一人前」になると、「ひとりじゃ意味がない」と本当に思うようになって、そうなって初めて、誰かのために生きなきゃ意味がないと思うようになるわけですね。ですから、みくりがヒラマサの結婚したい気持ちがわからないというのはある程度しょうがないことです。
さて、それでは、どうしたらよいかということですが、ドラマでは、ヒラマサが、「僕はみくりさんを小賢しいとか思ったことはないです」とか言って、それでなんとなくみくりの承認欲求が満たされたということのようですが、なんだかすっきりしない解決だったと思います。
まず、みくりの気持ちについてですが、みくりはヒラマサやゆりちゃんが抱えているような孤独を知りませんので、このままではヒラマサと同じように、結婚してヒラマサのために生きたいとか思うようになるとは思えません。
みくりについては、彼女自身が望んでいるように、とにかくひとりでやれることをやってみなさいというのがいちばんだと思います。ちゃんと就職活動をして就職するとか、フリーターとかでもいいですけど、とにかく自立したいんなら自立してみなさいと。で、そうやってちゃんと働いてみて、最初は仕事自体が楽しいだろうからそれでいいとして、10年くらいしたら、「なんのために働いてるのかな」とか実存的問題が出てくると思いますので、そういう問題意識を持つようになったところでヒラマサが結婚しようと言えば、今のヒラマサと同じ気持ちになって、結婚しましょうということになるかもしれません。
あるいは、そんなに時間をかけないにしても、みくりの意志を尊重するなら、ヒラマサはいったんはみくりと距離を置くべきだと思います。どうしてかというと、ヒラマサはみくりに、すでに「居場所」を提供してしまっているから、なにがなんでもヒラマサと一緒になりたいという気にならないわけです。
みくりはまだ若いので、彼女がほんとうのところ何を望んでいるのかは彼女自身にもわかっていません。とりあえず最初は、居場所がないということがプレッシャーになって、偽装結婚云々を言い出したんでしょうが、居場所がないから何とかしなきゃということについても、彼女がどこまで本気に考えていたかはわかりません。自分自身、「思いつき」と言っていたわけですし。てか、本気で考えてたなら普通に就職活動しろよってことですね。同様に、プロポーズされてビビったというのも、単に条件反射的にビビっただけなのか、本気でまだ結婚したくないと思っているのかは、彼女自身にもわかっていないと思います。(もやもやすると言ってました。)
ですからまず、彼女自身に、自分の気持ちを自覚させてあげることが必要です。
好きか嫌いかで言えば、みくりがヒラマサを好きなのは間違いありませんが、それではどれくらい好きなのか?ということを、彼女自身に決定させるということですね。
ヒラマサの方は、これはもう、みくりのことが無条件に好きということになっているかと思います。たぶん、みくりが自分から、「家事は絶対したくない。お前が全部やるなら結婚してやる」と言えば、受け入れるんじゃないかと思います。
一方みくりは、そこまでヒラマサが無条件に好きというわけでもなさそうですが、これもほんとにそうなのかどうかはわかりません。ちょっと危機感を与えてみたら、あんがいすんなりヒラマサと結婚したい、何でもするから結婚してとか言い出すかもしれませんし、離れてみたら、実はそれほど好きじゃなかったってことに気づくかもしれません。
自立したいという気持ちも、単にこのまま結婚するのが怖いから言ってるだけかもしれませんし、本当に自立したいと思ってるのかもしれません。これについても、みくり自身、実際に就職して自活してみないとわからないことなのだと思います。
というわけで、みくりの意志を尊重するなら、別れなくてもいいですけど、とりあえず同居はやめて、みくりは自分の稼ぎで暮らしてみる。ヒラマサの家事は、彼が自分でするかダスキンに頼むことにして、普通に「付き合う」という形でやり直すのがいちばんいいかなと思います。なんだかんだ言って、ヒラマサだってまだ若いんだし。
一方、みくりの意志を尊重しないというのであれば、ヒラマサは、とにかくどんな条件でもいいから結婚してくれと頼むべきですね。
自分にとってみくりが何物にも代えがたいということを行動で示すわけです。わたしからすると、みくりをスポイルすることになるので、みくり自身のためにはあまりいい方法とは思いませんが、とりあえずみくりのことは、ヒラマサが責任をもってケアするというわけです。
ま、年の差が10もあるし、みくりは状況に流されやすそうな感じがするし、そもそもガッキーだからよその男が寄ってくるだろうし、一度距離を置いたら、もう帰ってこない可能性はかなり高いわけで、ヒラマサ君としては、とにかくだましてでも結婚してしまうというのが、いちばん無難かもしれませんね。