堤幸彦の真田十勇士をwowowで見ました。

15日間無料お試しっていうので、来週末までwowowが見られるんですよ。
評価としては、無料だったら見てもいいかなというくらいでした。

映画として一番面白かったところは、夏の陣二日目(天王寺口合戦)のシーンでした。一応、一番の見せ場なんだろうと思います。
もっとも、こういうのの合戦シーンって、トレイラー見ただけでもわかりますが、たいていいつも、「かかれー」「わー」ってなって、馬と一緒にばらばらと走り出しちゃうわけですけど、騎兵ならまだしも、歩兵は走っちゃだめだろうといつも思います。「絵になる」ってことなのかもしれませんが、わたしからするとなんか素人っぽい感じ満載で、むしろ「絵にならない」と思いますけど。歩兵は、長槍持って、一列になって、太鼓に合わせて進まないとだめですよね。なんとかならないもんでしょうか。「天と地と」とか、昔の角川映画なんかでは、わりとそんな感じでやってたような気がするわけですけど、子供だったのでうろ覚えです。やっぱそういうのは莫大なお金がかかるからできないんでしょうかね?(あ、ロード・オブ・ザ・リングの合戦シーンはわりとそれっぽい感じでよかった。オーク軍の方ですけど。人間軍の方は、やっぱり統制が取れてないっぽい感じだった。)

また、騎兵についても、日本の合戦では、騎兵突撃って実際にやられてたんですかね?よくわかんないですけど、やってなかったようなイメージです。源平とかのオールドスタイルの合戦では、騎馬対騎馬の格闘戦(とはいえ、最終的には組んで落馬させて、グラウンドで決着なわけですけど)なんかはあるようですが、基本は騎射戦ですよね。当然、集団戦としての騎馬突撃などはありません。その後、足軽を組織的に使うようになると、騎馬武者は足軽の指揮官になるわけで、騎乗で指揮してもかまいませんが、本人も戦う際には馬から降りて戦うのが一般的だったんじゃないかと思います。合戦の実録とか見ると、指揮官じゃない単騎の武士は、戦闘になると徒士立ちで戦ってますし。というわけで、戦国期の日本の騎兵は、ヨーロッパでいう初期のドラグーン(竜騎兵)に近くて、正確には騎兵じゃなくて乗馬歩兵というような感じだと思うんだけど。仮面ライダーみたいなもんですかね。ライダーも実際に戦うときにはたいていバイクから降りるわけで。参考・仮面ライダー戦闘シーン←これで見る限り、ほとんど徒士立ちですね。

さて、夏の陣二日目の天王寺口合戦では、真田勢は城の南西茶臼山に陣取って、南から攻めかかってくる松平忠直勢と戦います。で、真田勢の左、天王寺に陣した毛利勝永勢が、かかってくる本多忠朝勢その他を壊滅させて、後続の榊原勢、内藤勢まで混乱させました。で、ちょうどそのタイミングで、真田勢が松平忠直勢に抜かれて、松平勢はそのまま大阪城を目指して進軍、入れ違いになった真田勢の前に家康の本陣までのスペースができたということらしいです。本当に松平忠直に抜かれたのか、アメフトのスクリーンパスみたいに、ブロックできなかった振りをしてすれ違ったのかわかりませんが。幸村が陣を取った茶臼山は、冬の陣で家康が陣を置いた場所で、家康が陣したときには、陣城を作ってます。で、昌幸ゆずりの真田の戦い方というのは、陣地や城を基本にして、出たり入ったりして相手を攪乱するわけで、この場合も茶臼山の陣城に撤退してやり過ごしたってことなんじゃないかと思います。参考。茶臼山の陣跡。 真ん中あたりに陣城の古図があります。

というわけで、いよいよ映画でのクライマックスだった家康本陣までの突撃になるわけです。映画では、広い空き地の一本道をひたすら突撃していましたが、いくらなんでもそれでは奇襲にならないわけで、実際には低湿地と谷地的な地形が組み合わさった場所で、その辺の地形をよく知ってるからこそ、幸村の奇襲が成功したんだろうと思います。

それはさておき、映画の突撃シーンは、アメフトのランプレーみたいでした。一本道を、真田十勇士がブロッカーになって、幸村と大助がタッチダウンをねらいます。
プレーとしては、特にひねったところもなく、ただのブラストプレーというか、パワープレイというか、要するにブロッカーに守られながら、ランニングバックがひたすらまっすぐ走ります。で、ブロッカーがぜんぶやられたところでエンドゾーン目前になるんですが、そこであえなく鉄砲で撃たれておしまい。わたし、実は、ごりごりしたランプレーって結構好きなんですよね。男らしくて。
で、プレーとしては関係ないですけど、34回スーパーボウルのあのシーンが思い出されたりして、不覚にも少々感動してしまいました。
1:30あたりです。


マクネア、なつかしいですね。なんか、付き合ってた女の子に銃で撃たれて死んじゃったとか。なにやってんだか。
最後のパスは、ワイチェックが捕ったものだとばかり思ってたんですが、今見たらケビン・ダイソンでしたね。勘違い。ちなみに、この時わたしはワーナー(っていうか、マーシャル・フォーク)を応援してたのですが、さすがにこのモメンタムではタイタンズがんばれと思ってたのですが、一歩及ばず残念でした。ま、一歩及ばないというのも劇的であり、それはそれでいいものです。

映画について、ちょっと文句をいうと、佐助と才蔵が早々にブロッカーから抜けてしまったのが解せませんでした。てか、HBの役というかAce of acesは、幸村&大助じゃなくて、佐助&才蔵で行くべきだろう。才蔵飛べるし。佐助は爆弾投げるし。でもまあ、それじゃあ家康を打ち取っちゃうだろうから自粛したんでしょうけど。

その他感想。
●勘九郎は、新選組!とかのときは別にそんなふうに思わなかったんだけど、今回は、お父さんの勘九郎によく似てるなと思いました。道元禅師をやったのは見てません。
歌舞伎の人って、襲名するだけあっていろいろよく似てますよね。
お父さんの方の勘九郎については、わたしが知ってるのは30歳以降で、大河の武田信玄で今川義元をやってたあたりからだから、六代目が30過ぎになって、お父さんとよく似てると思うようになったのかもしれません。お父さんの勘九郎を子供のころから知ってる人からしたら、子供のころからよく似てるということになるのかもしれないってことですね。

●桃李くんは、名前が女の子みたいだと常々思っていましたが、顔もなんだか女の子みたいですねえ。だから別におかしいわけじゃないのか。(「桃李門に満つ」とかだと別にきれいってわけじゃなくて立派な人ってことですけど、「洛陽城東桃李花」とかだと、かわいい女の子のことですよねえ。きれいな花といえば、日本では桜ですが、中国では桃と李です。あ、梅でもいいか。そういえば、梅ちゃん先生の旦那が桃李くんだったわけだけど、梅だから桃李だったのか?ってことはないでしょうけど。冗談です。)

●最後の後日譚について。豊臣家と離れて秀頼が個人的に生き残ることにはほとんど意味がないよねと思った。淀殿にとっては意味があったんでしょうけど、単に個人として生き残ることが大事なのだとしたら、最初から戦なんかせずに開城しとけばよいだろうという話。もしくは開戦前に逃げだすとか。ま、別に生き延びてもいいわけですけど、それならそれで、こっそり天草四郎になったりせずに、「豊臣秀頼」って看板を使わなきゃ意味がないだろうと思います。

●堤監督は、テレビの人だからなのかコメディの人だからなのかわかりませが、カット割りがなんか詰め込みすぎで、リアリティがないと思いました。モブの場面とかで人多杉。もうちょっとじっくり見せるようなカット割りが好きです。

●家康本陣で、メガホンで家康の下知を叫んでる人がよかった。誰でしょうあれ。

●あと、わたしの大坂の陣の基礎知識は司馬遼の「城塞」なので、真田隊の奇襲と呼応して金瓢の馬印が現れていたなら、というところにロマンを感じるわけです。で、大助は出陣要請に本丸に行ってなきゃいけないし、秀頼を出馬させなかった淀殿が憎いということになるわけですけど、このエピソードがなかったのは少々不満でした。根津甚八は、立川文庫的には幸村の影武者なわけですが、それが秀頼の影武者っぽい設定になってたので、もしかしたら秀頼にかわって出陣するのかしらとも思ったわけですけど、そういうわけでもなかったし。てか、司馬遼ロマン的には、あそこで金瓢の馬印があらわれちゃったら、家康を討取っちゃうかもしれないので、やっぱりその辺も自粛したんでしょうかね?

てな感じ。宣伝を見て、期待しないで見たのですが、ある意味期待通りの作品ではありました。

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